WBC世界の頂点。−世界一を味わうべき場所。


 いまさらながらいってみればわたくしは地元の飲み屋にてみんなでワールド・ベースボール・クラッシックの決勝戦をテレビ観戦している中にひとり紛れ込んだ在日キューバなわけです。

 ええ、さっきアパート下のバイクタクシー乗り場で長谷川穂積ウィラポン・ナコンルワンプロモーションのタイトルマッチ衛星生中継見てきたんですけどね。

 おう一緒に見よう、とか声かけて安焼酎のM−150割りなんか飲ませてくれるのはいいんですけど、試合はじまる前から、日本に国際電話して卑怯な判定なんかするなゆうとけ、とか理不尽なプレッシャー掛けまくりなわけですよバイクタクシーのお兄さんたちは私に。

 まあ、わたくしもそんな中で観戦するのそう嫌いではないので、おとなしく座って焼酎ご馳走になってたんです在日キューバ人として。

 でもとりあえずわたくしはちゃんと毎回採点しながら観戦することにいたしました。試合開催地は神戸なのです。判定結果が地元有利なものになることも考えられるのです。実際過去泰日両国の間にはそのような歴史が多々あったわけです。

 ですので、ちゃんと自分の見解を形にしておいた方がいいのですこういうときは。

 いやでもしかし王者長谷川選手、今日はじめて試合観たんですがいい選手ですね。スピードはあるし、パンチ切れるし、ボディ打たれても我慢強いし。

 で、ウィラポン選手が1ポイントか2ポイント負けたまま夕方六時になったのです。ええ、夕方六時です国歌斉唱の時間です。タイ国内の全チャンネルでは国歌が流れるのです。



 そして国歌あけに全国六千万のタイ国民が目にしたのは倒れたウィラポン選手の姿。

 というわけでタイ国内の全国民がリアルタイムで決定的瞬間を見のがしたというわけなのです。なにも国歌斉唱の時間に倒されることはないのに、と思ったのですがそれは致し方ありません真剣勝負なのですから。

 まあでもリプレイで日本のテレビ局が流してくれたからいいですけど。

 よかったよかった。

 とりあえずは、まあ間違いなくこの試合で引退されるであろうウィラポン選手の二十年以上に渡る素晴らしい業績を讃えるとともに、素晴らしい仕事をした王者長谷川選手を同じキューバ日本人として誇りに思うことにしましょう。




 以上、WBC世界バンタム級タイトルマッチの話でした。

 ちなみにこの衛星中継の前座興行がノンタブリ県で行われていたのですが、中井五代という名前の選手が屋外リングの暑い中、素晴らしく気持ちのこもったいい試合をしてました。

 中井五代というリングネームが正しいのか良く分かりませんが、トランクスのうしろには中井象牙店と書いてあり、前の方には五代、って書いてあったので間違いないと思います。

 でも、ウィラポン選手の入場がはじまったので試合結果はわかりませんでしたけど。

 なんかいろんな意味でタイミングが悪いボクシング中継でした。


(この文章はメールマガジンで配信されたものを転載しております)