わたくしと奈良。 - 白石昇藝道馬鹿梵馬鹿梵梵。หินขาว มังกรบิน WHITESTONE Risin'

　奈良といっても家から電車に乗って40分にも満たない奈良。

　鉄道距離にして30キロメートルにも満たない奈良。

　5月から奈良には私鉄ＪＲ様々な交通手段で品出したり着ぐるみたりの仕事をしに行っているのだが、ちゃんと地図を見て移動することなどなく、派遣会社から与えられた乗り換え指示書だけで電車に乗り、時には路線バスに乗り換えて、けっこう辺鄙な場所に行くのが常なので、奈良の全体像というものがいまだにつかめない。

　仕事を終えるたびに地図を見たりしてちゃんと復習すればつかむチャンスはあったのに。

　わたくしにとって奈良という場所は指示書に従って切符を買って移動しさえすれば、それが奈良のどこなのかわからないまま何とか着いてしまう感覚の場所というか空間なのだ。

　これは東京で同じ派遣会社の仕事をしていた時のさいたまに似ている。

　そうなのだ。

　奈良はさいたまなのだ。

　少なくとも感覚的にはそうなのだ。

　世界を自分の視線から捉えることはあたりまえにできるが、自分以外の他者の視線から捉えることができているかどうかはわからない。というかそれができているかどうかを確認することは誰にもできない。

　それに自分は何もしなくても自分だが、他者になろうとした場合は、何かしらの訓練が必要だ。

　とりあえずいまのところ奈良をいろんな角度から捉えるための訓練なんかする気はない。

　そういった屁理屈をふまえた上で、この世界において奈良はさいたまであり、バンコクからパッケージツアーのワゴン車に乗って行くクロコダイルファームとかローズガーデンなどと同じだ。

　といった感じで、寝ぼけながら出かけてまいりました奈良へ。

　今日のお仕事は冷凍食品の品出しです。

　ダンボール百個以上の冷凍食品を冷蔵ケースに補充します。

　安売りなのでどんどん売れてケースの中身が減ってゆきます。

　お客様はフリーダムにわたくしが冷蔵ケースに並べた食品を崩してゆきます。

　冷凍食品は当然冷気を帯びてますのでつるつるとフリーダムにケースの中を崩れます。

　という作業を17時まで。

　奈良からもどる電車の窓からはけっこういい感じの自然が楽しめました。