最終的にはカエルの中へ。


 昨日の朝着いたんだけどいやマジでお金使いすぎたねボクは特にペナンで食いすぎだね。

 で、一昨日の朝の話なのです。ハードヤイからバスに乗ったら午前二時に着いたのですパンガー県パンガー市のバスターミナルに。


 仕方がないのでそこで始発待ちしようかと思ったのです。タクワパー郡行きのバスが出るまでカラオケ屋でも探して。

 しかしパンガー市のバスターミナルにはそんなものはないのです。

 あるのはターミナルから一〇〇メートルほど離れた場所にセブンイレブンが一軒のみ。

 そんな私に一人のおじさまが声をかけて来られます。二五〇バーツのホテルを紹介するぞと。

 いや私はそんなバスが出るまでの四時間ほどの時間のために二五〇バーツも散財する気はないのです。そうおじさまに説明するとおじさまは、じゃ俺のウチで寝ろ、一五〇バーツでいい、とおっしゃるんです。

 さっぱりワケが分かりません。でもああそうですかそれはホテルより安いですね利用させていただきますというわけにもいきません。タダなら少し考えますが。

 仕方がないのでわたくしは暗いバスターミナル食堂脇に積まれた板の上に横になって朝を待つことにしました。時折バックパックを枕にして寝たり、持って来た本を読んだりします。

 するとパンガー県名物の豪雨が降って来やがります。私が映画『鉱山大学』で見たのと同じようなひんやりとした豪雨です。ターミナルの敷地内にはカエルが跳ねはじめます。

 そんな中で横になって私は数少ないバスターミナルの街灯にたかる羽虫を見ておりました。

 羽虫はアホなので蔭に逃げようとはせず雨に叩かれながらも街灯に向かって何度も飛んでいます。本当にアホです。




 他人事とは思えません。

 本当に他人事とは思えないのです。きっといつか雨に負けて地面に落ちるところをカエルに食われたりするのでしょう。

 いやでも上下に雨をはじきながら羽根を動かし続けている様子は見ていてなかなか気持ちのいいものでありました。きっといつかは落ちるんでしょうけどね。



(この文章はメールマガジンで配信されたものを転載しております)