のぼるちゃん今日はいろいろありがとうもう遅いからこれで帰りなさい。
と体育会系の先輩を接待したときのようなノリでタクシー代をいただいたのでタクシーで帰ってきました。
つうかこの時間だとバスで帰るの大変だし。
タクシーに乗ると、運転手様がわたくしをいきなり、ミスター、と呼びます。
ああそうなのかわたくしはミスターなのか。
野球のミスター、アートのミスター、旅番組のミスターがわたくしにとっての日本三大ミスターなのですが、ここでミスターと呼ばれたらなんとなくこの三大ミスターと肩を方を並べたような錯覚に陥ります。
というよりひとりでタクシーの後部座席占拠というめったにない僥倖がその錯覚に拍車をかけているのでしょうおそらく。
ミスター、どこでプレイしてるんですか?
運転手様はわたくしのギターを示しながらそうおっしゃいます。
路上、とわたくしはすぐに返します。
ミスターはいつも路上でやってるですか? 興味深そうに質問は続きます。
いや、路上に限らずどこでもやってますよ。どこでもいいんです、と答えると。
ここでもですかミスター? というジョークがかえってきました。
いや、申し訳ないがそれ、ジョークじゃすまないから。
全国76県の路上を制覇したミスターこと俺様に対してのそのネタふり、ジョークですむわけないから。
ええ、とわたくしは答えてケースからギターを出し後部座席でカラバオ弾き語り。
運転手様目を丸くされつつノリノリです。
十分以上にわたり三曲ほど、車中ライブが続きました。
おうちに着くと運転手様は今度知り合いがやってるパブに行く時お誘いしますので電話番号を教えてくださいとおっしゃいます。
教えてタクシーを見送ったあと、最近忙しいから電話番号じゃなくてフェイスブックのほうがよかったかなあと少し後悔。
ああしかし急なお誘いとかにもすぐ対応できる気軽な身体になりたいものです。
とっとと仕事終わらせればそれですむ話なんですけどね。
がんばれ、ミスター。